2005年にフィナストテリドの発毛作用が厚生労働省の薬事承認を得、正式に医師が処方できるようになりました(現在、世界60カ国以上で承認されています)。フィナストテリドはそもそも前立腺肥大の内服薬として承認されていましたが、これを投与している患者さんに発毛効果が認められたことより、経口発毛剤として治験が開始され正式に薬事の承認を得たわけです。フィナストテリドの作用機序は、前述のテストステロンをDHTに変換するⅡ型の5α-還元酵素の活性を阻害するものです。わが国ではプロぺシア錠(萬有製薬)として医師から処方され、1日1回服用します。プロぺシア錠には0.2mgと1mgの2種類がありますが、効果は1mgの方が優れています。ただし1mg以上服用しても効果は変わりません。またプロぺシア錠は女性における男性型脱毛症には効果がないとされています(後述)。
フィナストテリドの有効性はプロぺシア錠1mg投与群で、頭頂部の改善率が1年で58%、2年で68%、3年で78%(うち著明改善6.1%、中等度改善37.4%、軽度改善34.3%)、前頭部の改善率が3年で72%(うち著明改善2.0%、中等度改善32.3%、軽度改善37.4%)と報告されています(萬有製薬プロぺシアのHPより)。最近、萬有製薬の宣伝で90%以上の患者さんにプロぺシアによる発毛効果が見られたかのごとく勘違いをされて見える方もいらっしゃいますが、実際には「98%の患者さんで3年間AGAの進行が認められなかった」というのが実情です(同)。確かに頭頂部の著明改善例においては地肌の透過性が低くなっていますが、これは3年間の連続投与でたったの6.1%に過ぎません。前頭部の著明改善例に付きましても、2.0%とされていますが、実際にはHPで前頭部の症例とされている写真には、前頭部におけるM字型のAGAが改善した症例写真は見当たりません。
また軽度改善例と中等度改善例における評価は微妙であり、すなわち抜け毛の進行を防止したり、細くなった毛髪を太くすることによって多少地肌が見えにくくなることがあっても(これらの症例を全て含んだものが改善率です)、他人から見て明らかな増毛効果が見られたと判断される症例(著効例)はわずかにすぎません。従って萬有製薬も効能・効果としては「男性型脱毛症の進行遅延」を謳っているのみで、ちなみにプロぺシアの説明書には、"本剤を6カ月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止すること。また、6か月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し、継続投与の必要性について検討すること。"と書いてあります。一般に効果がある場合は内服開始後3カ月後から認められ、12ヶ月後に明瞭になり3年目ぐらいまでは改善傾向が持続します。従って明らかな薄毛や脱毛症において、十分に満足の行く増毛効果を上げる最適な方法は、自毛植毛とプロぺシア錠や次に述べるリアップの外用の併用療法しかないと言えます。またプロぺシア錠の内服を中止するとその効果は徐々に消失し、1年後には頭髪の状態はプロぺシア錠を服用しなかった場合の状態に戻ってしまいます。
下記は、プロぺシア錠の説明書から抜粋したものです。服用に際してはこれらの事項を十分にご理解の上、服用してください。
- [1] 効能・効果
-
- 男性における男性型脱毛症の進行遅延。
- 他の脱毛症に対する適応はありません。
- 20歳未満での安全性および有効性は確立されていません。
- 女性に対する適応はありません(有効性が認められていません)。
- [2] 服用方法
-
- 男性成人には通常、フィナステリドとして1mgを1日1回経口投与します(コップ1杯程度の水またはぬるま湯といっしょに飲んで下さい)。
- [3] 使用上の注意
-
- 分割したり粉砕して服用しないでください。
- 効果が確認されるまで通常6ヶ月の連続投与が必要です。また、効果を持続させるためには継続的に服用することが大切で、万一服用を中止される場合は、必ずクリニックの医師にご相談ください。
- 増量による効果の増強は確認されていません(1日1mg以上は服用しないでください)。
- 1年間投与しても脱毛症の改善や進行遅延がみられない場合は、投薬を中止してください。
- [4] 禁忌
-
- 本剤の成分(フィナステリド)に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 妊婦または妊娠している可能性のある婦人、および授乳中の婦人。
- [5] 慎重投与
-
- 肝機能障害のある患者:肝機能障害のある患者に投与した場合の安全性は確認されていません。
- [6] 副作用
- 臨床試験において下記の副作用が報告されています。
- 性欲減退1.1%
- 勃起機能不全0.7%
(プロぺシア錠の副作用として当初危惧された性機能障害(勃起機能不全、射精障害、精液量減少)は1年で2.9%でしたが、これはプラセボ群と有為な差はなく、現在は特に問題とされていません) - その他、極めてまれに掻痒症、口唇・顔面腫脹、発疹、睾丸痛、乳房肥大・圧痛など
- 【その他の注意事項】
-
- 更年期以後の女性の男性型脱毛症に対しては、有効性が認められませんでした。
- 女性がが妊娠中にプロぺシア錠を内服すると、男性胎児の外性器に以上を生じる可能性があります。
- 夫の精液を通して女性に吸収されるフィナステリドは、問題とされていません。
- プロぺシア錠を内服してみえる方は、休薬後1ヶ月間は献血をお控えください。
- プロぺシア錠を内服すると前立腺癌のマーカーである血清PSA値が約50%低下することが報告されていますので、服用中はPSA値を2倍に計算して下さい。50才以上の方の場合は内服開始前にPSAの値を測っておく方が良いでしょう。
- 投薬前後の血液検査は特にいたしませんが、肝機能障害のある患者に投与した場合の安全性は確認されていませんので、肝機能障害を指摘されてみえる患者さんは服用をお控え下さい。















